初めて冬獅郎と逢ったのは幼稚園の時だった







新しくすみれ組に入ってきたお友達




と言って砂場で1人遊んでいたあたしに先生はそう言って声をかけてきた



人見知りをしているのか、



あたしの方を見ようとしない冬獅郎はずっと俯いたままだった








「あたしって言うんだ!よろしくね、とうしろうくん!」



「…ん、」





それでもあたしは新しく友達ができて、


一緒に遊べることが嬉しくてあまり気にしなかった












「何作るー?あ、あたしお団子作ったんだよ!上手でしょ♪」



「…」



「あ!お山作るの?ならトンネルも作ろうよ!あたしも手伝うー」






何も言わない日番谷がスコップ片手に砂をかき集めると


それに気付いたは勝手な解釈をした



そんなを見ても日番谷は黙ったままだった








はこの日をきっかけによく日番谷と一緒に遊ぶようになった





ブランコやすべり台などの遊具で遊ぶこともあれば



おままごと、また砂場で遊ぶこともあった








初めは口数の少ない日番谷も


の明るい性格もあってか、少しずつだが話すようになった



少々生意気なのか、



のことを””と呼び捨てで呼ぶようにもなった



しかし



逆に呼び捨てで呼ばれることが嬉しかった





なんとなく







だからもなんとなく




とうしろうくんと呼んでいたが、シロちゃんと呼んぶようになった(なんじゃそりゃ


















そんなある日











「シロちゃーん!」



「…んだよ」



「あのねあのねあのね聞いて!今日ね!あたし誕生日なんだ!」



「……ふぅ〜ん」



「……おめでとう言ってくれないの?」



「誰がお前なんかに言うかバカー」





と、意地悪そうにあっかんべーをする




そんな日番谷の態度には少し怒った様子を見せたが


内心残念がっていた




先生たちや他の友達からは言われたのに



1番言ってもらいたい相手から言われなかったことのに



は少し落ちこんだ







「もういいよ!今日は1人で遊ぶから!」



「…」






軽く腹を立てた様子で



は1人、スコップと小さなバケツを持って砂場に足を進めた






もうシロちゃんなんて知らない!






おめでとう言ってくれるだけでいいのに







気づくと、


がさっき程から砂をかき集めた所には



小さな山ができていた






なんだかさみしくなった
























「おい



「ぇ」




いつもの生意気な口調であたしを呼ぶ声






「ほら、コレやる」



「何…そ、れ?」



「お前が好きな花」






シロちゃんの小さな手に掴まれてるのは



一輪の小さな白い花だった





その時あたしは1度だけ白い花が好き、



と言ったことを思い出した










「コレ…くれるの?」



「あぁ、感謝しろよな…///」





プイッとそっぽを向いて少し頬を紅くさせるシロちゃんのそんな仕草が



ちょっと可愛く見えた







「ありがとう、シロちゃん!」







素直に嬉しかった




すっごくすっごく





嬉しかった






あなたがあたしにくれたのは

名前も知らない