「あっ、銀時おはよー!」
きらきらと輝く太陽の下に、自転車を漕いでいるきらきらと煌く白髪の天パを見つけて、
少し後ろを歩いていた私は小走りで近づいていきなり二台に飛び乗った。
ガタンッと音を立てながらも自転車は進み続けて、それに少し遅れて驚いた顔をした銀時が振り向いた。
「うおっ、」
「おはよー」
「おはよー、じゃねえよ!危ねーだろが!」
「大丈夫、ここ土手だから二ケツしてても怒られないよ」
「そういう意味じゃねえよ!」と銀時がぎゃあぎゃあ文句を言っているのは軽く聞き流して、私は銀時の背中に顔を埋める。
目を閉じて鼻から息を吸うと、ふわりと甘い匂いが私を支配した。
「ちょ、さん聞いてます?てか抱きしめ過ぎじゃね?」
「んー・・・今日も銀時いい匂い」
「スミマセーン!ここに変態女がいるんですけど誰かー!!」
銀時からはいつもいい匂いがする。
わたあめみたいな、ミルクのような、ふわふわで甘くて、可愛い女の子みたいな匂い。
私がより一層抱きしめている腕に力を入れると、銀時はそれを緩めようとハンドルから片手を離し私の腕を掴む。
「、いい子だから離しなさい!」
「やだーだって落ちるもん」
「んな強く抱きしめなくてもいいだろうが!」
「銀時あったかいしーって、ちょ、ちょっと銀時!前!!」
離されまいと必死になって抱きついていた私の視界に、よろしくない光景が映った。
さっきまでは道の真ん中辺りを走っていたのに、いつの間にか目に映ったのは土手の下に広がる草原と川。
それとほぼ同時にガタンッという自転車が硬いものにあたる音と、銀時の「うおぁっ」という声が響いた。
本当は一瞬の出来事なんだろうけど、私の中ではスローモーションで、ゆっくりと体制が崩れていく。
私はぎゅっと目を瞑ってこれから起こりうることを覚悟したが、ふわりと甘い匂いの暖かいものが私を包み込む。
それと共に草原に落っこち、何回かぐるんぐるんと回転した後止まった。それと同時に私の唇に柔らかいものが一瞬触れた。
「いたたたた・・・」
私はゆっくりと目を開けた。思いきり閉じていたせいで目がまだ太陽を拒んでいて霞んではいたが、
目の前にはふわふわの白髪。そして死んだ魚の目が私を見つめていた。
「ぇっ?!って、うわっ!」
あまりにも銀時が至近距離で私は驚き起き上がると、銀時に馬乗りになっていることに気がついた。
「俺の方が痛いっつの」
「え、あ、ごめん銀時!」
銀時のベージュのカーディガンは少し泥がついてしまっていたが血などは出ていなかった
私はそれを確認して少し安心したが、ふとあることを思い出す。
「ね、ねえ、銀時」
「な、なんだよ」
「あ、あたし達落ちた時、もしかしてキスした・・・?」
そういうと銀時は急に顔を真っ赤に染めて私から目を逸らした。
「ぁ、あたし・・・初めてだったんだけど」
「・・・知ってる」
「え、何で知ってんの?!」
慌てて銀時のYシャツを掴むと、「冗談」と銀時は小さい声で言った。
私は顔が熱くなるのを感じながら、それを隠しもせずに銀時に顔を近づけた。
「ちょ、なにす・・・んんっ」
銀時は私を止めようとしたけれど、私はその手を捕まえて気にせずそのままキスをした。
最初は少し抵抗した銀時だったけどすぐに大人しくなってくれて、私達は少しの間唇を重ねる。
「・・・っは」
「なにすんだよ」
「ファーストキスがあんな事故じゃ嫌だったからっ、」
「下手くそ」
「だ、だって初めてなんだってば・・・!」
私が顔を赤くして反論すると、ぐいっ、といきなり後頭部を掴まれて再び私と銀時はキスをした。
「キスってのはこうやってするんですー」
ハプニング キッス
(ぎ、銀時っ!!)
(ちょ、そこは触んなっ・・・)
(え?な、なにこの硬いもの・・・)
(・・・・・・ごめん勃った)