見たくなかった・・・





こんな時にあんな写真・・・





我慢していたものが一気に崩れていく


























Believe

























「あーいい加減書類に集中しなきゃ!!」










は伸びをして筆を持ち直した





いくら考えてたってしょうがないんだから





そう心に言い聞かせて




































「あら、まだ仕事終わらないの?」





日番谷と話終えた乱菊はを見つけ話しかけた





「はい、書類溜めすぎちゃって・・・」





今日は帰るの遅くなりそう





「随分多いわね;私が手伝ってあげる」





乱菊はの机に置いてある書類の半分を持とうとした





「い、いいですよ!!今日中にはできると思うんで、乱菊さんは帰って身体休めて下さい」



「そう?」



「はい、お疲れ様でした」





は乱菊の背中を押すようにドアの所まで連れて行った





「じゃあまた明日ね



「また明日」





乱菊は手を振りながら詰所を後にした





































「んーやっと終わったぁー!!」





は欠伸をして時計を見る





「もう八時かー長かったなぁ」





早く帰らなきゃ、明日も早いし





は椅子から立ち上がり、帰りの支度を始めた




















「もう何処も鍵開いてないよね?」





まさか一番最後だったなんて;


誰かいると思ってたのになー





そんな事を考えながらドアの鍵を閉め


は自分の家へ歩き出した





































足が進まない・・・


身体が家に帰るのを拒んでいるような感じがする





は一人家路を歩きながら考えた





もう冬獅郎の記憶は取り戻せないのではないだろうか


私が弱いから


私が今の冬獅郎に耐え切れないから


自分の事を忘れてしまった冬獅郎に




















「冬獅郎・・・」




































やっと家に着いた





はゆっくりと重たいドアを開けた





疲れた・・・もう寝よう





廊下を進み寝室のドアを開ける















パタンッ・・・















「ん?」





が寝室のドアを開けると同時に窓際にあった写真立てが倒れた





あんな所に写真なんて飾ってたっけな


何の写真だろう





は写真立てを起こし、中の写真を見た





































―――――冬獅郎・・・




































その写真は日番谷とのツーショットだった





「これ・・・野原で撮った写真」





冬獅郎がまだ記憶喪失になっていない時の・・・




































「おい、写真撮ろうぜ」





あの時、珍しく冬獅郎から写真を撮ろうって言ってきたんだ





「どうしたの珍しく?」



「もうすぐちょっと長い任務があるからよ、が俺を忘れないように」





そう、この写真を撮った数日後に冬獅郎はあの長い任務に出かけた





「写真なんかなくても私は冬獅郎の事忘れないよ?」





私が笑いながらそう言うと


冬獅郎は顔を赤くして目を逸らしながら呟くように言った




















「俺が持っていくんだよ、寂しくないように//////」




















「ぷっ」





「わ、笑うんじゃねぇよッッ//////」



「だって私に俺を忘れないようにとか言っちゃって実際違うんだもん」



「そんな事言っとかなきゃ恥ずかしいじゃねぇか/////」





赤い顔を隠しながら私を軽く叩いた





「ちょ、痛いなぁー恥ずかしいからって叩かないでよ」



「うるせぇ///さっさと写真撮るぞ/////」





冬獅郎は少し離れた所にカメラを置き角度を合わせると戻ってきた





「ねぇ冬獅郎・・・だ、誰がシャッター押すの??」





私は吹き出しそうになりながら冬獅郎に尋ねた





「ん?・・・あ、ヤベ考えてなかった;」



「ぶっははははは」



「だから笑うんじゃねぇッ!!」





あの時の冬獅郎の顔が可愛くてカメラで撮りたくなったのを覚えてる





「誰かいねぇかな・・・」










「あら、隊長とデート中?」










「ホンマやぁーえぇな十番隊長さん」





後ろから乱菊と市丸隊長が私達に話しかけてきた





「松本と・・・市丸」





冬獅郎は市丸を見ると声のトーンを下げる





「なんやの十番隊長さん今声のトーン一気に下がったで!?」



「あははははw」





私は一人お腹を抱えながら笑っていた





、テメェいつまで笑ってんだよ;・・・おい、松本」





冬獅郎は私の口を押さえながら乱菊さんに写真を撮ってくれるよう頼んだ





「いいですよ、じゃあそこに二人並んで」





乱菊はカメラを構え二人に位置を指示する





「ちょっと二人とも!もっとくっつきなさいよ、入らないじゃない」



「そやでーはよくっつかんと僕がちゃんにくっついてまうで十番隊長さん」





市丸はからかう様に日番谷に言った





「ふ、ふざけんじゃねぇよ市丸!!」





冬獅郎はむきになりながら私の肩を抱き寄せた





「これでいいんだろ松本」



「はい、いいですよーって、隊長笑って下さい;顔怖いですよ」





乱菊は呆れながら言った





「・・・っ注文が多いんだよ!!」



「いや、それが普通だと思うで;;」



「そうだよ冬獅郎」



「・・・・っ」





冬獅郎は私と市丸隊長が言うと渋々作り笑いをした





「「「ぶっっ」」」





「笑うんじゃねぇ///!!いいからさっさと撮りやがれ!!」



「はーい、いきますよー」





松本がカメラを構えるとその後ろで市丸が変顔をして笑わせようとしていた





「「はは」」










“カシャッ”










「隊長ちゃんと笑えるじゃないですか」



「僕のおかげやなw」



「市丸の顔がおかしすぎんだよ」



「ホントおかしかったぁー」





私と冬獅郎は二人で笑っていた





「なんか複雑やな・・・あ、そうや!ちゃん僕とも写真撮ろvV」





そう言って市丸はに抱きついた





「テメッ市丸!!から離れろッッ!!」




































あの頃は、毎日が楽しかった










楽しすぎた・・・





































「冬獅郎・・・ッ」





































の目から涙が流れた





なんで記憶喪失になんかなっちゃうのよ


どうして・・・どうして冬獅郎じゃなきゃいけないのよ


もっと隊員はいっぱいいたじゃない


そいつ等が・・・そいつ等がなればよかったのにっ





どうして冬獅郎なのよ・・・っ





は写真を胸に押し当てた





「うぅ・・・っ・・・ひっくッ」










もう押さえきれない・・・















---END---

日番谷の微笑み、是非とも拝ませて頂きたい。