キラリと静かに輝くのは、薬指に嵌めたままのあの指輪。








なんで外さなかったのかは、もう私自身わかっている。

私はそれの感触を確かめながら、ゆっくりと立ち上がり高杉くんの目の前まで進んだ

初めて出会った時より感じる、恐怖

ある程度の距離まで行き顔をあげると目が合って、私の足は竦んだ

































「何しに来たんだよ」



「それは・・・、」



「俺を心配して来たとかぬかすなよ」








高杉くんはポケットから煙草の箱を取り出し、

煙草を一本取り出すと、殻になったのか箱を握り潰し近くに放り捨てた









「ち、違うよ。」


「じゃあ、なんだよ」


「ちゃんと、高杉くんと話したくて・・・私逃げたから」






咥えた煙草に火がつき、白煙がゆらゆらと私の視界を動いた

高杉くんは細い白煙を吐き出すと、ゆっくりと口を開く








「俺は話したかねェな」


「私は話したい」


「お前自分勝手だと思わねェのか?」


「思うよ・・・、思うけど、私、やっとわかったから」


「何が、だよ」




「高杉くんのことが、好きだ、ってこと・・・」









私がそういうと、ピクリと反応して、真っ直ぐな瞳で見つめられた

前だったら逸らしていた目を、私はもう逸らさない












「私、今まで誰とも付き合ったことないし、好きな人すらできたことなくて、こんな気持ち初めてで・・・」



「・・・・・」



「今更遅いかもしれないけど、気持ちだけでも伝えたくて来たの。ここに」











未だ視線をお互い逸らさなくて、

深く闇みたいな高杉くんの瞳に、吸い込まれそうだった

















「・・・調子良すぎるだろ」



「うん、わかってる」



「俺がどんな気持ちだったかわかんのかよ、お前に逃げられて、」











高杉くんはそういうと、ソファから立ち上がり私の目の前に立ちはだかった

それに圧倒されて私が固まると、ぐい、と左手を力任せに握られ引っ張られた





























「来い」




「ぇ、ど、どこに」



「おい、奥借りんぞ」


























私を引っ張りながら高杉くんは近くにいたスタッフにそう声をかけると、

そのスタッフは何も言わず頷いた。





私から見えるのは、高杉くんの後ろ姿だけ

今高杉くんがどんな表情なのか、気持ちなのかなんてわからなかった





















































コツリと当たるCROWN

(ふと高杉くんの小指を見ると)
(私が見たことのない新しい指輪が嵌っていた)
(その指輪と、私のクラウンの指輪が)
(コツリと小さな音を立ててぶつかった)