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帰国してから一週間後、
萌夏は俺と同じ高校に通うことになった。
つまり、まあ自然と一緒に登校することになり、嬉しいような、面倒なような
「シロおっはよー!寝癖ついてんじゃんかっこわりー!」
「朝からうるさい奴だな・・・」
「シロかっこいいんだから身だしなみくらいしっかりしなよねー」
そういって会うなり萌夏は俺の頭を掴み手櫛で髪を直し始めた
昔はよくこういうこともされてたな、なんて懐かしんでいる暇は今はない
「おいそんなのどうでもいいから行くぞ、遅刻する」
「あ、ちょ、折角途中までなおしたのに!」
「初日から遅刻する気かよ」
「・・・・・・確かに!急ごう」
少し考えた素振りを見せ、頷いてから早足で歩き始める
俺は少し遅れて歩き出し、萌夏の横に並んだ
視線を横にやると自然と視界に入ってきて、
これが俺が望んでいた高校生活なんだと思うと、少し嬉しくなった。
「萌夏、部活はなんか入るのかよ?」
「んー今のとこ考えてない。めんどいしさ」
「ふーん、じゃあ帰りは別だな」
「なになにー、冬獅郎は今何部なの?」
「サッカー部」
「やっぱりかー小さい頃からやってるもんねー」
萌夏は懐かしいなぁ、と思い出に浸り始める
昔から俺はサッカーをやっていて、萌夏は試合などをよく見に来ていた
そんなことを話していると、いつの間にか学校が見えてきて周りは学生だらけになっていた
「今日からここに通うのかー」
「精々いじめられねぇように気をつけろよな」
「え、何ここそんな良くない学校なの?」
「どんな良い学校でも萌夏ならあり得るだろ」
「なにそれ、ひど!」
校門をくぐって、知り合いに挨拶をして、俺たちはどんどん校舎に近づいていった
校舎の前までつくと萌夏は立ち止まり俺の方を向く、
「それじゃ、私はこっちみたいだから」
「ぁ・・・、そうか。道間違えんなよ」
「大丈夫だよ、駄目でも誰かに聞くし」
「今日俺部活オフだから一緒に帰ろうぜ。HR終わったらここな」
「うんOKーんじゃねー」
萌夏は背を向けて歩き出すと、あっという間に人混みに紛れていった
俺はそれを確認して、反対方向に歩き出す
歯痒い
想
い
(どんなに長い間一緒にいたって)
(どんなに身長が伸びたって)
(どんなに肩を並べて歩いたって)
(俺は年下で萌夏は年上)
(どうやってもそれが変わることはないのに)
(寂しい、なんて、何考えてんだ俺)