「お兄ちゃん、どう?似合う・・・かな?」


「お!似合う似合う、俺が結婚したいくらい綺麗だぞ〜






なんでそんなこというのよお兄ちゃん、

冗談でも結婚したいだなんて、言わないでよ。

だってほら、私の胸がズキンて痛い。





「そんなこと言って。お兄ちゃんにはもう綺麗な奥さんいるじゃない」

「まあそうだけどよォ。でももしお前が妹じゃなけりゃー・・・」

「よさぬか銀時、そのような淫らなことを言うのは・・・!」

「いや、全然淫らじゃねーんだけど!てかお前鼻血、ちょ、鼻血・・・!!」





お兄ちゃんの隣に座っていた桂さんが、

鼻血を垂らしながらそう言ってお兄ちゃんの胸ぐらを掴んだ。


桂さんに感謝。

あのまま聞いてたら泣いてたかもしれない。

だったら妹やめるからお嫁さんにしてよ、とか言ってたかもしれない。











私が好きなのはお兄ちゃんなのに。

なんでこの気持ちを伝えちゃいけないんだろう。

言っちゃえば少しくらい楽になれるんだろうけど、

やっぱり“家族”という壁は大きすぎる。









「桂さん、だいじょうぶ?」

「おう、すまないな」

「ホントだぜ、なんで結婚式で鼻血なんか出してんだよ」






お兄ちゃんが結婚してしまったから、私もそれを追うように結婚した。

旦那さんのことはちゃんと好き、でもお兄ちゃんの方が好き、大好き。








「・・・桂さん、ありがとね」

「??」













(今日、お兄ちゃんから卒業します)