「まだ目開けちゃ駄目だからね!」


「いつまで待たせる気?早くしてよ」





僕は目を閉じてもう何分経ったんだろう。

今日は再来月に控えている、結婚式に着るウェディングドレスを選びに来た。


早くウェディング姿を見たいのに、

店に入るなり近くにあった椅子に座らされ「目瞑ってて」と言われた。

着替えは違う部屋でするんだから、目を開けてたっていいじゃないか。




「まさか私恭弥と結婚できるなんて思ってなかったよ」




彼女はドレスを選びながらそう僕に話しかけてきた。

ハンガーが動いてドレス同士が掠れる音が聞こえる。






「なんで?僕は出会った日から結婚するなら君としか考えてなかったけど」

「え、それホント?凄い嬉しいんだけど・・・」






僕等が付き合い始めたのは中学校の頃。

彼女の願いでお互い大学を卒業するまではキスまでしかしないと決めていた。

だからセックスだってまだしていない。

我ながらよく頑張ったと褒めたいくらいだよ。



でも、そういうのが我慢できたのは彼女の事が本当に好きだからで、大切だからで、

本当に好きじゃなかったら無理にでもしてるか、とっくに別れてる。





「君はさ、もっと僕に愛されてることを自覚した方がいいよ」

「え、そ、そうなのかな?なんかごめん」

「別に、謝ることじゃないけどね」





それに、これからはもっともっと、嫌と思うくらいに愛をあげるから。

多分鈍い君でも自覚できると思うよ。













束縛という愛情
(やっと君を独り占めにできる)