俺は・・・お前の事を





守る事が出来なかった


























綺麗な笑顔

























その日は、雨で


外は昼間というのに薄暗かった




































「じゃ、行ってくるね冬獅郎」



「おう、気をつけろよ」





冬獅郎は書類を書く手を止め


の姿を見た





この気持ちはなんだろうか


できればに行かせたくない


何か嫌な予感がする





「さっさと帰って来いよな」



「当たり前じゃん!只の虚なんだし」





こう見えても私は三席なんだからね、隊長さん





はそう言ってニコッと笑う





「あぁ、わかってる」




でも嫌な予感がするから言ってるんだ





冬獅郎はそう思いながらも口にはせず


只々の姿を眺めた





「それじゃぁね」





はそう言うとスッを後ろを向き部屋を出て行った




































俺はあの時、どうしてお前を行かせたんだろう


そうしたら、お前を・・・を失う事にはならなかったのに




































は、俺の所に帰って来る事はなかった


否、帰っては来た


身体は冷たく、腹に穴が開いていたが










ッ!?」





冬獅郎は現世から帰ってきたの姿を見る





それは酷かった・・・もう顔は大分青ざめていて


とにかく血の気が無かった





は刺された腹を片手で押さえながら冬獅郎の前まで歩いてくる





「やられちゃった・・・」





ごめんね冬獅郎


油断したよ・・・





はそう言って一筋の涙を流し床に倒れた





!!」





冬獅郎は慌ててに近づく


そしてを抱き寄せた





「今四番隊の奴呼んでやるからな!」





そんな怪我で此処まできやがって


先に四番隊行けよ!!





冬獅郎は隊員を呼び止め、四番隊に報告を入れるように言った





「・・・ご、ごめん;;」





どうしても冬獅郎の顔見ておきたくて・・・





は頼りなさそうに笑う










「一体、何があったんだ」










冬獅郎はなるべくを動かさないようにしっかりと身体を掴んだ





「報告ではっ、虚は1体だったじゃない・・・?」





でもね、実際そこにいたのは5体・・・・





「そんな・・・」



「3体ぐらいなら簡単に倒せるんだけどねっ・・・」





結局は倒せたんだけど、見ての通り、お腹をやられちゃった





は自分の腹から出た血を眺める










「私・・・死ぬんだ」










「な、何言ってんだ!!」





ふざけた事言ってんじゃねぇ!!





の意外な言葉に冬獅郎は眉間の皺を寄せ怒鳴る





「怒らないでよ冬獅郎」





しょうがないじゃない、わかるんだもん


もう限界って・・・





は少し寂しそうに言う





「段々感覚なくなってきたし」





実はもうあんまり目も見えなくてね


こんな近くにこないと冬獅郎顔ちゃんと見えないの





はそう言って自分の手で冬獅郎の顔を引き寄せる





「ふ、ふざけんなよ・・・」



「ふざけてないよ、本当なの」





の手に少し力が入る


その手は少し震えていた










「・・・冬獅郎・・・怖いよ」










どうしよう


私、一回は死んでるくせに


今とっても怖いの





「冬獅郎と離れたくないよぅ」



「それ以上喋るなっ」





無駄な体力使うんじゃねぇ





冬獅郎の羽織は抱きしめていたせいでの血が染みている


その光景を見て冬獅郎の身体が震える










「まだ一緒にいたいよぅ・・・」










「黙れ」




















「遣り残した事・・・まだいっぱいあるのに・・・」




















「喋るなってば」





































「冬獅郎の、お嫁さんになりたかったなぁ・・・」




































「頼むから黙ってろよッッ!!」




































冬獅郎がそう言うとはニコリと微笑んだ





「・・・・いままでありがとう冬獅郎」










最後に、キスしてくれない?










はそっと冬獅郎に顔を近づけた





「最後なんて、言うなよ」





俺はそんなの認めねぇよ





冬獅郎はそう呟きながらの頭に手を回し少し強引にキスをした





「んっ・・・はっぁ、冬獅郎、好きだよ」





世界で一番、誰よりも





「何言ってんだよっ」





もう四番隊の奴等来るからそろそろちゃんと黙ってろって










「大好き冬獅郎」










は力を振り絞って冬獅郎に抱きつく





私の事、忘れないでね


きっと、ううん、絶対。この世で冬獅郎を一番愛した人なんだから





・・・」





変な事言うなよ


何弱気になってんだ





冬獅郎はの背中に腕を回り少し力を入れる


は冬獅郎の頬に何回も優しくキスをすると冬獅郎と正面に向き合った




































「愛してるよ」




































は涙を流しながら笑った




















それとほぼ同時にカクンとの身体から力が抜る










・・・・?」










どうしたんだよ急に





冬獅郎はゆっくりの身体を揺する










「なぁ、?」










の反応がないのが分かり今度は強く大きく揺すってみる










「おい、返事しろよ、なぁ、ってば」










ふざけんなよ


冗談も大概にしろ




















ッッ!!」




















もうは俺がいくら揺すっても起きなくて


身体は完全に冷たくなっていた





俺はただの名前を喉が嗄れるまで呼び続けた


気がついたら四番隊の布団に寝かされていて


あれは夢だったのではないかと疑った


でも違って、はもう何処にもいなかった





只、今はっきり思い出せるのは


悲しいくらいに綺麗な笑顔の




















---END---

悲恋とか、死ネタが書きやすい・・・嫌な子。