「こ、これあげるよ!」




「仕方ないからあげる、感謝してよね」




「これ・・・手作りだからおいしいかわかんないけど・・・」




「本命じゃないからね、義理だから・・・って、いつまでこんなことしてんだ自分!!!!」













私はふと我に返り、地面に膝をついて頭を抱えた

時計を見ると、かれこれ30分はやっていたらしい












「こんなことじゃいつになってもあげられない・・・!」












本日の私の使命、それは好きな男の子にチョコレートを渡すこと。

この日のために前々からちゃんと料理を研究して何度も作って、

いままでで一番の出来のものが今可愛らしい正方形の箱の中に入っている












「あーもうっ!さっさともらってくれこんなものぉおおおっ!!」



「さっきから面白ェことしてんじゃねぇか」



「ひ、ひぃっ!」










私が地面に頭を打ち付けるように蹲った瞬間、

小馬鹿にしたような声が背中にかけられた。

聞き覚えのある、凄く好きな声。
















「た、たかすぎ・・・!」



お前さっきから何一人ぶつぶつ言ってんだよ、頭おかしーんじゃねーの」



「なっ、そんなんじゃないし!失礼な奴だな!!」



「ま、単細胞なお前はそれをあげる予行でもやってたんだろ?」



「単細胞言うな!そうだよ予行練習してたんだよ!なんか悪いかコラ!」









高杉はそういうとニヤッと笑って私が隠し持っていた箱を指さす。

私の体温はそれと同時に一気に上昇した。それを誤魔化すように、言い返す。













「別に。お前も女らしいことするんだな」



「そ、そりゃあ、私だって一応思春期だし?!」



「自分で思春期とか言うな、単細胞」



「だから単細胞言うなってば!」








私は強めにそう言った後、ふと正気に戻って脳内で考えた。

今までの会話で完全ハードルをあげてしまっている。



予行練習とか言っておいて、あげる相手はア・ナ・タ☆なんて今更言えなし、

多分差し出した瞬間に「ふざけんな」とか言われて投げられるだろう。

・・・それになにより、恥ずかしすぎる!!!




















「おい、どうかしたのか?」








ふと、会話をやめた私に心配したのかなんなのか、

高杉は私の顔を間近で見つめてきた。















「ちょ、近っ!!!!」



「痛ェッ!!何すんだコラ!箱の角刺さってんだよ!」















私はあまりにもびっくりして自分が箱を持ってるのも忘れて高杉の顔を押さえつけた。が、

高杉が言うように箱は彼の頬に突き刺さり、高杉自体は凄い気持ち悪い顔になっていた(多分普段なら笑ってる!)












「ご、ごめ!その代わりと言ったらなんだけど、これあげるから!うん、それじゃ!」



「は?お、おいちょっと、」




















まさかこんな渡し方になるなんて予想外すぎる!

そんなことを思いながらも、とりあえず渡せて一件落着!と思い私はその場からマッハで逃げた






来年は絶対もうすこしうまく渡そう!














































片思い少
マッハGOGO!!

(・・・これ、俺貰っていいのか?)
(お、高杉チョコもらってんじゃ〜ん、色男〜!)
(ばっ、銀時!そんなんじゃねェよ!)
(でもそれ本命だろ?そんなこと言ったらくれた子が可哀想だろ)
(・・・・・・・・・本命?俺に?)