※このお話はグロテスクな表現がされていますので注意して下さい。
私の手足は自由になった
冬獅郎が、少しひっぱっただけで、
簡単に砕けてしまった鎖が、地面に残っている
私はもう、此処にはいられない
行く場所は、愛する人の元
鬼の面
「俺は、いつもの場所で待ってる」
冬獅郎はそう言って、牢屋の鍵を開けてから姿を消した
私は自由になった手足を少し動かし、
それから牢屋を出た
向かう先は、お母様の部屋
途中に、台所に寄った
お母様の部屋の近くまで来ると、部屋に明かりが点いていた
もう空には満月が昇っているのに
まだ起きているのか・・・
私はそっと忍び足で部屋の前まで行った
「お母様・・・」
前まで行くと、小さな、擦れた声でお母様の名前を呼ぶ
「・・・・?」
お母様はその声を聞き取り、コトリと何かを机に置いた
多分、筆だろう
「なの・・・?あなたどうやって・・・」
「・・・お母様、何故、愛してはいけないのですか?」
私はゆっくりと、障子を開ける
「何故、人間同士じゃないと、愛し合ってはいけないのですか・・・?」
「・・・・あなた・・・・っ」
障子が開ききると、お母様の顔が青ざめていくのがわかった
「何故、冬獅郎を愛してはいけないのですか?・・・・そんな決まり、ないじゃないですか」
私の右手には、研ぎ澄まされた包丁
部屋に来る前に寄った台所から持ってきた
お母様は、これから起きるであろう惨事に気付いたのだろう
「・・・っ、やめなさい」
「私は冬獅郎の事を愛しているんです。この気持ちは誰にも変えられない・・・」
「聞こえないの・・・?;やめなさい、」
「どうしても駄目と言うのなら、こうするしかないのです・・・お母様」
「やめなさ、い・・・やめて・・っ、やめっ・・・きゃぁああぁああっっ!!」
さようなら
私はそう呟くと、持っていた包丁を出来る限り上げ、そのまま目の前にいるお母様に振り下ろした
包丁は、お母様の首に刺さった
そこから、血が吹き上がる
お母様も、私の服も顔も、見る見るうちに真っ赤に染まる
私は包丁をそのままにして、その場を去った
向かう場所は・・・・・、愛しい人の元
「待ってたぜ」
「ごめんね、遅くなっちゃった」
久しぶりに訪れる、冬獅郎と出会った場所
「お前、随分酷い殺り方したんだな」
「そんなことないよ、刺しただけだもん」
私は自分の手についていた血を、近くにあった木に擦りつけた
「取り敢えず、川に行こうぜ、血生臭過ぎ」
美味そうなんだよ、
「うん、ねえ、私が冬獅郎の村に行って、食べられたりしないかな?」
私が冬獅郎に近付くと、冬獅郎は私の頬についた血を指ですくい舐めた
「あぁ、安心しろ。俺に逆らえる奴はいねぇから」
「ぇ・・・?」
「あ、そうだ、これやるよ。本物の角だぜそれ」
私は冬獅郎の言葉の意味を聞こうとしたが、それより先にあるものを渡された
「鬼の・・・・面・・・・?」
渡されたものは、祭などで売られている様な物よりずっと重い面
「それでも、・・・俺と同じだ」
「ありがとう、冬獅郎」
「おう、じゃあもう行くぞ」
「うん」
私は自分の親より、愛する人を選んだ
それは、おかしい、いけない事なのだろうか
そんなの、決められない
でも、例えいけない事でも、私は後悔しない
私にとっては、人間でなく鬼であっても、愛する人と一緒にいるのが幸せなのだから
私は、ゆっくりと鬼の面で顔を覆った
END.
日番谷冬獅郎誕生日夢
やっと終わったー!もう誕生日は随分前なのに・・・;;
此処まで読んで下さった方、有難う御座いました!
初、グロテスクじゃないですか?あれ?違う?←
あ、そうだ、実は冬獅郎の夢小説が50話を超えたんですよ。
まあ、この鬼の面で超えたのではないようですが・・・;;笑
では!感想とか下さるととっても嬉しいです!
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