女の子ってもんは、
誰でも一度は王子様って存在に憧れるのよ
いつか白馬に乗った王子様が、自分を迎えに来てくれるってね
でもその憧れは、大体6歳ぐらいになるとみんな捨ててしまうの
きっとそんな人が現れるなんて不可能って思っちゃうんじゃない?
でもあたしには、ちゃーんと王子様が現れてくれたんだから
「ね、ベル」
「ん?どうかしたの」
あたしの前に現れた王子様は
金髪で、前髪できっと綺麗なはずの瞳が隠れてて
頭にキラキラと輝いたティアラをのせた王子様
「ううん、なんでもない。ねぇベル、ベルはあたしの王子様だよね?」
「うしし、当たり前じゃん?だって俺王子様だし」
「それはあたしのって意味じゃないでしょー」
「じゃあ、は俺のお姫様?」
「うん、そのつもり」
あたしはあなたのお姫様
だって王子様の隣にいるのはお姫様って決まってるでしょ?
「うしし」
あたしがそう言うと、あなたは変わった笑い方をして
一つ、唇に優しいキスをする
あたしは王子様に出会えたけれど
実は全然理想とは違ったの
だって、王冠じゃなくてティアラだし
洋服は真っ黒なコートだし
何より、白馬に乗ってないし
でもね、そんな理想とかけ離れたあなたでも
大好きな大好きな
私の王子様