好きな奴がいる、
そいつは何故かいつも一人で桜の木の下で本を読んでいる
名前は、知らない
桜をこんなにも綺麗だと思った
今日も俺はあいつの下へ向かった
話せますようにと、思いながら
名前の知らないあいつは、今日もいつもと同じ場所で本を読んでいた
何を読んでいるのかは知らないけど、随分厚みのあるものだった
俺は見つからないようにそっと近くにある木の陰に隠れた
春風が頬を優しく撫でる
「ねえ、キミ」
気配は、全然感じなかった
さっきまで本を読んでいたのに
いつの間にか俺の目の前にいる、あいつ
「私に、何か用があるの?」
俺の顔を覗きこみながらそう言って、その場にしゃがみこんだ
「いや・・・、お前、名前は?」
「。キミは日番谷冬獅郎くんでしょ?」
「なんで名前・・・」
「だって有名だもん、キミ」
優等生ってね、とは言うと、ニコリと笑った
「名前知ってるんなら名前で呼べよ」
「え、だってキミとは友達じゃないし・・・」
「もう話したんだからいいだろ」
「そんなもんなの?私よくわかんないんだよねそういうの」
「俺もよく分からねぇけど、そんなもんなんじゃねぇの?」
俺が小さく笑うと、もつられて笑う
なんだかとても穏やかな気持ちになった
「そういえば、何読んでんだよ」
「え?あぁ、小説」
「んなの見りゃわかる」
俺がが持っていた本に手を伸ばすと、
は慌てて本を後ろに隠した
「何取ろうとしてんの!;」
「いや・・・、どんなのか見ようと思って・・・」
「勝手に人のもの触っちゃダメ!」
「・・・・ごめん」
は頬を膨らませて文句を言うと、
それから本を地面に置いて少し頬を染めながら俯いた
「・・・・・笑わない?」
「あ?」
「だから、笑わないんなら、教えてあげるよ、本の中身」
は遠慮がちに俺のことを見ると、すぐに視線を逸らした
そんな行動を見て、胸が高鳴った
「笑わねぇよ」
「絶対だからね?」
「あぁ」
「・・・・・・・・・・・・恋・・・・・・に、ついてのね、本を読んでるの」
は頬を真っ赤に染めながら、小さな声でそう言った
「ゎ、私、恋とかよくわからないから・・・//」
「なあ」
「ぇ・・・?」
必死に顔を隠そうとするを見て、
より一層胸の高鳴る俺
今なら、言える気がした
「俺が、そんなの教えてやるよ」
俺はの額に触れるだけのキスをした
「ちょっ、ひ・・つが・・////」
「そんな本よりわかりやすいと思うぜ?」
の、真っ赤な頬に優しく触れてみる
その頬はとても熱を持っていて、触れられたは恥ずかしそうだった
の後ろにある、桜の木
静かな、撫でるような風が吹くとヒラヒラと花弁が散った
俺は桜をこんなにも綺麗だなんて、今まで思ったことはなかった
思えたのは、
俺の目に桜の木と一緒に、が映っていたから
---END---
ぷっぷっぷーっ!冬獅郎ったらキザー!←
そんなものを書いている獅馨哉がキザなんですけどね。苦笑
これは華永さんに捧げます!