冬獅郎がいなくなって、一ヶ月が経った





































今、冬獅郎はなにしてる?















あたしのこと考えてくれてるかな?















あたしは、いつも冬獅郎のことを考えてるよ




































あたしはもう、泣いていないよ





























さよならは言わない

























「俺、来週引っ越すことになったんだ」






























あたしと冬獅郎は家が隣で、世間で言う幼馴染というもので、





ずっとずっと、もう生まれた時から一緒にいた

























「え・・・?」





































そんな冬獅郎からの、突然の別れの言葉











































あたしの頭の中は真っ白になった














































「親父の急な転勤で・・・さ、アメリカ行くんだよ」










「そんな・・・、冬獅郎も行っちゃうの・・・?」










「国内なら残ってもよかったんだけどな・・・、流石に海外だから・・・・」






























既にあたしの瞼は熱くなっていて、涙が今にも溢れそうだった

























「本当は俺、行きたくねぇんだけど・・・」






「あたしを置いていかないで」






「ごめんな、






「いかないでよぅ・・・っ」













「ごめん・・・」

























あたしが溜まった涙を流しながら言うと、



冬獅郎はあたしから目を逸らして、震えた声で呟いた














































それから一週間、あたしは部屋に引き篭もり、ずっとベッドの上で泣いた


学校にも行かず、母親や父親に声を掛けられたが全て無視をした


冬獅郎も来てくれたけど・・・・けしてドアは開けなかった






































あたしは、冬獅郎が本当に大好きで










将来は絶対冬獅郎のお嫁さんになるのだと






本当は大嫌いな勉強も料理も、






冬獅郎に負けないくらい、いつ嫁にも出れるくらいに、頑張った















すべては冬獅郎の隣にいたかったからなのに




































全てが水の泡









































、冬獅郎くんを見送りに行くわよ、いい加減出て来なさい」





「行きたく・・・なぃ・・・」





「駄目に決まってんでしょ!それに冬獅郎くんが今来てんのよ、アンタを呼んでんの」






さっさと行きなさい、と母親は今まで入って来なかったのに


あたしの部屋に入ってきて、勢い良くあたしがかぶっていた布団を捲った









「行きなさい。冬獅郎くんは何も悪くないでしょう。可哀想じゃない」





「・・・・」








あたしは母親の顔を見て、ゆっくりと頷いた




































母は、何故か泣きそうな顔をしていた











































あたしは急いで着替え、顔を洗った




































「冬・・・獅郎・・・」




















!・・・・良かった」

























そっと冬獅郎の名前を呼びながら玄関に行った


冬獅郎はあたしの姿を見ると、小さく溜め息を吐いた




















「今から、俺行くんだけど・・・」








「うん・・・」








「見送りに来て・・・、くれよ」








「・・・うん、行く」




















あたしは玄関まで、冬獅郎の正面にまで来ると


その場に座り込み、自分がいつも履いているスニーカーを履いた


履きながら冬獅郎の顔をそっと見てみると、










冬獅郎は笑っていた







































































「じゃあ、今までお世話になりました」





「いえいえ、私達こそ・・・」


























数時間後、あたし達は空港に着いた





















本当に本当に、冬獅郎とお別れの場所









































































あたしがぼぉっと立ち尽くしていると、冬獅郎に肩を叩かれた















「何・・・?」











「俺、お前にさよならとかは言わねえからな」










「・・・?」





















何を言っているんだろう



あたしには、さよならさえも言ってくれないの・・・?






























「少しの間離れるだけだ」


















「・・・」






























「絶対、迎えにくるから」


































「ぇ・・・?」










































「俺がお前を養えるようになったら、絶対にまた日本に来て、に会いに行く」











































「冬獅郎・・・っ」




















「だから、待ってろよな」




































冬獅郎はそう言って、ギュッと痛いくらいにあたしを抱きしめた





































「ぅっ・・・とぅしろぉ・・・っ」








「浮気すんじゃねぇぞ?俺もぜってーしねぇから」










「・・・・っ、する訳ないじゃん、馬鹿」










「だよな。ほら、いい加減泣くのやめろよ、笑顔で見送れ」




「んっ・・・ごめん//」










冬獅郎はあたしの涙を指で拭いながら、優しく唇にキスをした










































「じゃ、行って来る」










「うん、いってらっしゃい、冬獅郎」


































あたし、ずっと冬獅郎が迎えにきてくれるのを待ってるよ


































冬獅郎が日本に戻ってきて、あたしの前に現れたら






飛びっきりの笑顔をあげる




















---END---

ちょっと切なめ甘な感じ?(聞くな

久しぶりに書くので、感想待ってます☆