あなたをイメージしてつくったイチゴのショートケーキ

見た目はもういかにも手作りって感じで、ちょっと綺麗じゃないけど、

きっとあなたなら「おいしい」って言ってくれると思うから

私の頬は自然と緩んでしまう。




ケーキを入れた小さな箱を持ち、私は教室を出た。

向かう場所はいつも私達が会う秘密の場所。
































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「ぎーんちゃん!起きてー」



「んっ・・・・・・?」











まだ肌寒いけど今日は太陽が出ていて昼休みの今はお昼寝に絶好の気温だった。

私達の秘密の場所、屋上のタンク裏に行くと、

いつも通り、読みかけのジャ●プを開いたまま顔の上にのせて眠っている銀ちゃんの姿があった

私が声を掛けながら軽く身体を揺らすと、小さくくぐもった声で名前を呼ばれる











「いつから寝てるのー?授業は大丈夫?」



「あぁー・・・今日の授業はあと6限だけ」



「いいよねー先生は。私なんて全部受けなきゃいけないのに」








だから学校じゃ銀ちゃんと昼休みにしか会えないからつまんない、

なんて言ったらぎゅっと腰あたりを抱きしめられた。












「昼間っから可愛いこと言うなよなー、銀さん我慢できなくなるだろ」



「ごめんごめん、でも本音だもん」



「ったくもー、は男心わかってねーな。襲うぞ」



「それはだめ。次高杉先生だから休んだら色々面倒だもん」



「・・・・・・・・確かにそれはそうだな」












銀ちゃんは私の腰から手を離し起きあがって、小さくあくびをしながら伸びをした。

くりんくりんの髪の毛が私の目を魅了する。

いつ見てもわたあめみたい。そんなこと言ったら怒られるけど。













「そういえば、お前なんか今日甘いな」



「え?」



「香水の匂いじゃなくて、生クリーム・・・?」



「あぁ、そうだった!」













銀ちゃんは首を傾げながら、鼻をくんくんさせる。

私は本来の目的を思い出して近くにあった箱に手を伸ばした。




















「はい、これ。はっぴーばれんたいんでー」



「んぁ、そうか、今日はバレンタインデーか」



「何、忘れてたの?銀ちゃん今日大好きでしょ?」



「いや、そうだけど。と付き合い始めてからは他の奴等からもらうのやめたからさー・・・」










ごにょごにょと銀ちゃんは続けているけど、私はもう嬉しくてそれどころではなかった。

言い方は違うけど「私は特別」という意味でしょ?

嬉しすぎて顔がにやけそう。


















「銀ちゃん、今食べてくれる?」



「え?帰ってから少しずつ食べようかと思ったんだけど・・・」



「私食べてる姿見たいの。だからね、今食べよ!」









私はそういうなり箱の蓋を開けて中に入っていたフォークとケーキを取り出した。

どうやら中で動いてなかったみたいで入れた時と同じ形でホッとする。

ケーキを眼にした銀ちゃんの目が、少しきらめいて私はまた嬉しくなった。、










「おースゲェ!ケーキケーキ!」



「あんま見た目綺麗じゃないけど、味は大丈夫だから」



「んなまたァ、うまいに決まってんだろ?」








銀ちゃんは「ありがとう」と言って私の頭をくしゃ、と撫でた。

それからフォークを持ってケーキを一口サイズとると口に運ぶ





















「おいしい?」



























私はそっと銀ちゃんの顔を覗き込んだ。

すると目があって、銀ちゃんはくわえていたフォークを出した。






















ちゅ、























































sweetly,Sweetly

(すげーうまい。だろ?)
(ん、うん、おいしい、みたい)
(これでいつでも俺と結婚できるなー)
(うんそうだね、って、え?)