私は殴られた衝撃で、地面に倒れた
殴られた頬は熱くて、じんじんと痛んで
泣きそうになったけど、グッと目に力を入れて堪える。
総悟は正気に戻って私を見下している
少し震えているのが分かった。
「なんで、ここに・・・」
「退に聞いたの」
「山崎の野郎・・・、言うなっつったのに、」
「ごめん、退は悪くない」
私はそっと殴られた頬に触れてみた
走って此処まできたせいか、手は冷たくて今の頬には気持ちが良い
触れてみると予想した通りかなり腫れてきていた
「頬、」
「ああ、平気だよこのくらい」
「んなワケねェだろィ、腫れてきちまってんじゃねぇか」
総悟は少し泣きそうな顔をして、
私の視線に合わせるように屈むと、そっと頬に触れた
「総悟、ごめん」
「は、」
「ごめんね、総悟」
ぎゅ、と私は総悟のお腹周りを精一杯抱き締めた。
総悟の胸に顔を押し沈めて、大きく匂いを嗅ぐ
昔から嗅ぎ慣れてる総悟の匂いがして少し安心した。
「どうしたんでさァ、」
「答えてあげることができなくて、ごめん」
「・・・なんの話でィ」
「総悟の気持ちに・・・、こんなに想ってくれてるのに、私は」
総悟の気持ち、知ってた。もうずっと前から。
でも私はどうしても総悟をそういう目で見る事ができなくて、
変な事を言ってこの関係を壊したくなくて、
いつも逃げるように、考えないように、過ごしてきた。
そのせいで総悟を、こんなにも傷付けた。
「総悟、好きだよ。でも、それは、」
「何も言わないでくだせェ。そんなのとっくの昔に気付いてまさァ」
それでも好きでいたのは俺のワガママなんでねィ、と
いつの間にか私を包んでいた腕の力を強めながら総悟は言った
「、好きでさァ」
「総悟・・・、」
「ずっとずっと前から、」
「うん、」
「愛してる」
「ありがとう、総悟」
ちゅっ、と頬に柔らかい感触がした
「ちょ、」
「いいだろィ、こんくらい」
総悟はニヤと小さく笑いもう一度私を抱き締めた
応援してますぜ、と耳元で呟きながら
愛してるという終止符を
(おい、気は済んだかよ)
(私と総悟が離れるのを見計らって吐かれる冷たい言葉)
(ああ、この人も、私が傷つけてしまったんだ)