こんな俺に小さな花をくれた女がいる
それはとても小さな花
小さな花
俺は北流魂街80地区更木にいた
そこは最も深い闇の底
俺はそこで何人もの奴を殺し続けた
ある日、北流魂街79地区草鹿で『八千流』と名づけた餓鬼を拾った
そして、その帰りもう一人餓鬼を拾った
名は『』俺はそう名づけた
はやちるより少し大きく無表情な奴だった
しかし、面倒見が良くやちるはいつもに任していた
「おい、」
「・・・はい」
俺が呼ぶとはボソッと返事を返す
「またやちるの面倒頼む、俺は飯になるモン取ってくる」
「わかった」
そう言うとはやちるの方へ行った
俺はそれを見てから外へ出て行った
「ねぇちゃん」
「?」
やちるはに話しかけた
「ちゃんは剣ちゃんの事好き?」
「え・・・?」
どうしてそんな事聞くの?
はやちるに聞き返した
「だってちゃん剣ちゃんといる時の顔嬉しそうだから」
やちるはニッコリ笑いながら言った
「そうかな?」
「うん」
私はあまり顔に出さない筈なのに・・・やちるは少しの変化でも分かるのだろうか
「・・・・・じゃあ好きかもしれない」
よく好きとかの意味わからないけど、きっとそうなんだろう
「そっかぁ。あ、そうだちゃん」
「何?」
今度はなんだろう
「ちょっと外行こう」
ね?といってやちるはの手を引っ張った
「う、うん」
何をするかは分からないけどいいか
そう言ってとやちるは外へ出て行った
「ほら見てちゃん」
しばらく歩くと花畑に出た
「きれいでしょ?」
やちるは笑いながら走って花畑に入っていった
「あ、待って」
も慌ててそれに続いた
こんな所にお花畑なんかあったんだ
80地区なのに・・・
はそんな事を考えながらやちるを探した
「あ、いたやちる」
はやちるを見つけると走り寄った
「何してるの?」
「あのね、剣ちゃんにお花持って帰ってあげるの」
そう言ってやちるは綺麗な花を一つ一つ摘んでいた
あの人にお花を?
似合わない・・・
「ちゃんも一緒に摘もう」
そう言ってやちるはの手を引いた
まぁ、いいか
そう思ったはしゃがみ込み、やちると同じ様に一つ一つ花を摘んでいった
「剣ちゃん喜ぶかなぁー?」
「どうだろうね」
あの人は花なんか貰って喜ぶだろうか
喜びそうな顔じゃないけど・・・
喜んでくれるといいな
「でも、きっとやちるが摘んできたんだから喜んでくれるよ」
は小さく微笑んでみせた
「あーちゃんが笑ったぁーww」
やちるの表情が一気に和らいだ
「これ、ちゃんと笑えてる?」
「うん、とっても可愛いよ!!」
可愛い
初めてそんな事言ってもらった
「剣ちゃんにもその顔見せなきゃねw」
やちるは花を摘みながら言った
「え、やだよ」
そんなの恥ずかしいもの
「なんでぇ?きっと剣ちゃんも笑ってくれるよ?」
だから笑顔でお花渡そうね
やちるは立ち上がった
「あと、やちるだけがこのお花摘んでるんじゃないよ。ちゃんも摘んだんだからね、二人が摘んだから剣ちゃん喜んでくれるんだよ」
そうに言った
「うん」
「じゃあそろそろ帰ろう、剣ちゃん帰ってきちゃう」
「そうだね」
とやちるは花を持ちながら歩き始めた
「今帰ったぜ、やちる」
その頃剣八は食料を持って家に帰ってきた
ん?誰もいねぇ
何処行きやがったんだあいつ等は
辺りを見渡してみるが二人のいる気配は全くしなかった
「ちっ」
そのうち帰ってくるか
剣八がそう思っていると
「剣ちゃぁーん!!」
と、やちるの声が聞こえた
「ん?やちる」
一体何処行ってやがったんだ
「ただいまぁーあのねぇ、ちゃんとお花畑に行ってきたの」
「そうか」
どうりでやちるから花の匂いがすると思ったぜ
「はい、コレ剣ちゃんにプレゼント!!」
やちるは剣八に沢山の花を渡した
「俺に?」
俺に花なんて似合わねぇな
「うんwほらちゃんも」
早く渡さなきゃ、とやちるはの背中を押した
「う、うん」
この人はどんな顔をするんだろうか
私が笑ったら笑い返してくれるかな
「け、剣八・・・コレ・・・」
は下を向きながら花を剣八に差し出した
「ちゃん笑顔!!」
その後ろからやちるはに言った
恥ずかしい////
そう思いながらもはゆっくりと顔をあげ
ニッコリと笑いながら剣八に花を渡した
「お、おう」
が笑った?
いい顔すんじゃねぇか、初めて見たぜ
そう剣八は思うと二人に視線を合わせる為しゃがんだ
「ありがとな二人共」
剣八は片手で花を持ち、もう片方でやちるとの頭を撫でた
「おし、じゃあ中入ろうぜ、飯だ飯」
そう言うと剣八は家に入っていった
そして今、は俺の隊の第四席で働いている
「おい、ちょっとやちる見ててくれ、隊首会出てくる」
「うん、わかった」
あれからは少しずつ心を開きしゃべり方からすべて変わった
唯一変わってないのは、あの時の笑顔だけ
---END---
剣八=お・は・なv(逝け