俺達だって、と離れ離れになるのが悲しくないわけがない
でも俺達にはそれぞれ未来がある
その中では嬉しい事、悲しい事がある。そして出会いも別れもある。
俺達は三人出会い、共に嬉しい事、悲しい事を分かち合った。
だから、別れがある。
その時は悲しいかもしれない、辛いかもれない。
でも、それを乗り越えてまた再会すりゃあいいじゃねぇか。
THIRD
あの日から、は俺達の事を避ける様になった。
いつの間にか進路希望の紙は出したらしいが、
俺も銀時も、あいつの進路は知らない。
「なぁ、お前もし落ちたらどうすんの」
「あァ?んな落ちるわけねーだろ俺が」
「うわ何その自信!超ムカつくんですけどォー!」
10分休みの間、銀時は俺の机の前に来るとそう尋ねてきた
受ける前から落ちる事なんて考えてられっか
「まあ、そこら辺の大学入るんじゃねーの?」
「お前適当過ぎんだろ!まぁ・・・お前なら受かる気ィするけどな」
「そりゃどーも」
俺は適当に返事を返すと煙草を取り出した
席が窓側なお陰で吸いやすい
「それと・・・・と話した?」
「話すも何も、あいつ完全に拒絶してるじゃねぇか俺達の事」
「だよなァー・・・このまま卒業とかマジ嫌なんだけど」
「そうはさせねぇよ」
ふぅー・・・とゆっくりと煙を吐き出した
ゆらゆらゆっくりと上に上がって行く煙に何故か腹が立つ
やっぱり待ってるのは性に合わねぇな
「銀時、あいつ拉致るぞ」
「は?」
「今直ぐ話つける。待ってるのは性に合わねぇんだよ」
ガタンと俺は音を立てて椅子から立ち上がると
ズカズカとの座席まで歩いた
「おい、ちょっと来い」
の腕を掴んで無理矢理立ち上がらせるとは俺のことを睨み付けたが
そんなのは俺にとっては慣れっこでの睨みなんて全然なんとも思わない。
が何も言わないうちに俺は強制的に教室から連れ出した
その後を少し遅れて銀時が付いてくる
***************
「何」
屋上に着いて早々、は短くそう発した
その声は冷たく感じるものの、やはり悲しさも含んでいた
「俺達から逃げんじゃねぇよ」
「・・・・・逃げてなんか、ないよ」
「逃げてんだろうが、何が大嫌いだ?あァ?」
「おい高杉、落ち着けよ」
俺が少し強く言うと、の目には見る見るうちに涙が溜まってゆく
銀時はそれを見兼ねて俺の肩を掴んだ
「ぁっあたしは、ただ二人に何も言ってもらえなかったことが悲しいの・・・!」
もっと前から言ってくれたら・・・、あたしだってちゃんと受け止めた。
とは俯いて涙を流しながら呟いた
「みんなそれぞれの未来があるのはわかってるよっ、あの後ちゃんと考えたっ」
そしたら、ちゃんと結果が出たんだよ、
「あたしも頑張ろうって。銀時と晋助に負けないようにって・・・」
はそこまでいうと自分の涙を手で拭い、まっすぐ俺達を見た
「もう、内緒になんかしないでよ。あたしもちゃんと二人の中に入りたい。
それから・・・、あたし先生になる。だから大学ちゃんと行くよ」
国語は得意だからさ、とさっきまで泣いていた顔で笑った。
その笑顔を見て、俺も銀時も、自然と笑みが零れる。
「が先生とか、教わる奴等可哀相だな」
「なっ、なんだと銀時ー!天パのお前に言われたくないわ!」
「おまっ、天パが全員頭ん中クルクルパーだと思うなよォオオオオ!!!」
「はっ、全員じゃなくて銀時だけだろ」
「なっ!」
馬鹿にすんじゃねェ!と銀時は俺に掴みかかってきた。
俺はそれを軽くかわしての肩を抱く。
「、こんな奴と一緒にいると天パがうつる」
「それもそうだ〜、ねえお腹減ったラーメン食べたい!」
「ぉっ、お前等全世界の天パさん達に謝れコラァアアア!!」
さっきまでの喧嘩は嘘の様に面影を消した
だからこの三人は続くんだろう
俺達はお互い言い合いの後謝ったりもしない。
それは周りから見たらおかしいモンかもしれねぇが、それが俺等のやり方。
残り少ない学生生活をずっとこいつ等と過ごしたいと思った。
そしてまた、いつか再会する日まで。