私にやさしいキスをして
あなたの事を信じられるように
あなたのモノと実感できるように
やさしく、やさしく、あなたを感じられるように
やさしいキスをして
まだ私たちは死神になってなくて流魂街で暮らしてた
「ねぇー桃ちゃん、餡蜜食べに行こうよぉー」
私は隣で必死に勉強している桃ちゃんに強請るような声で話しかけた
「ご、ごめんねちゃん;私今勉強してるから・・・;」
もうすぐ死神になるための試験があってね
そのために勉強しなきゃいけないんだ;
桃は両手を顔の前で合わせてに謝った
「えーあれ本当に受けるの?桃ちゃん」
「うん、そうだよ」
桃は手を動かしながらもの話に耳を傾けた
「止めようよ、私桃ちゃんと離れたくない」
どうせ死神になったら会えないんだろうし
「ありがとうちゃん」
でも死神になる事は私の夢だから
勿論、休みの日には帰ってくるよ!安心してね
桃はニコリとに微笑んだ
「でもなぁー・・・「いい加減に邪魔すんのやめてやれよ」
がブツブツ言っているとの後ろから冬獅郎が出てきた
「あ、シロちゃん」
「シロちゃん言うな」
冬獅郎はそう言うとの横に腰を下ろす
「私邪魔なんてしてないよ!ただ止めてるだけ・・・」
「それを邪魔って言うんだよバァーカ」
冬獅郎は厭きれた様にを見た
「馬鹿ってなによ、糞チビシロちゃん!」
は冬獅郎の発言が気に食わず反発した
「テ、テメェ今チビって言いやがったな!!」
しかもシロちゃん言うなって言ってんのに
冬獅郎はいつもより眉間の皺を刻みを睨みつけた
「冬獅郎がいけないんだもんねぇー!」
もういい、私一人で餡蜜食べてくるもん!!
はそう言って立ち上がった
「ちゃん;;」
「あ、桃ちゃんにはお土産買ってくるからね!」
冬獅郎には買ってきてやらないもんねぇーだ!
は舌を出しながら言った
「ふん、上等だ馬鹿!」
と冬獅郎はお互いふんっ、とそっぽを向いた
あ゛ー・・・なんであんな事言ったんだろう
冬獅郎「チビ」っていう事気にしてるから怒るの当たり前なのに
数時間後、は餡蜜の入った袋を片手に一人トボトボ歩いていた
つい冬獅郎が喧嘩売ってくるから買っちゃうんだよね・・・
本当は思ってない事まで言っちゃう・・・
餡蜜、冬獅郎のも一応買ったけど、これで許してくれるかな?
はそんな事を考えているといつの間にか家の前についていた
「ただい・・・「桃・・・」
ん?冬獅郎と桃ちゃん何話してるのかな?
なんか妙に深刻そうだけど
が部屋を覗くとそこには真剣な顔をした冬獅郎と桃がいた
「シロちゃん、頑張ってね・・・」
「おう」
私、覗かない方がいいのかな・・・
はそう思いそっとその場を離れようとすると
「桃こそ頑張れよな」
「・・・うん//」
冬獅郎はそう言うと静かに桃の背中に腕を回し抱きしめた
ぇ・・・・?
なんで・・・?
なんで冬獅郎と桃ちゃんが抱き合ってるの?
ねぇ・・・なんで?
バサッ
「誰だ!?」
は手の力が抜け持っていた餡蜜を地面に落とした
その姿を冬獅郎は見て固まる
「・・・っ!?」
「ちゃん!?」
冬獅郎の言葉に桃も驚き目を丸くした
「な、なんで・・・?」
はそう呟くと逃げるように走り出した
「っ!!」
冬獅郎はの後姿に向かって叫んだ
「シ、シロちゃん!追ってあげて!」
桃は焦ったように冬獅郎の背中を押した
「おう」
冬獅郎は立ち上がりの後を追った
「はっ・・・はぁっ・・・・」
は無我夢中に走り続けていた
もう二人の顔見れない・・・
逃げちゃったし
桃ちゃんも、冬獅郎も、吃驚した顔してたな
ああいう関係ならもっと早く言ってくれればいいのに
そうすれば、そうすれば私だってこんな感情なかったかもしれないのに
あったとしても、もっと傷つかないで済んだかもしれないのに
は細い路地に入ると止まり、荒い息を整えた
「ぅっ・・・うぅ・・・」
泣いちゃいけない
頭ではそう思ってるけど涙が勝手に出てくる
は声を漏らさないように片手で口を押さえた
「す・・・好きだったのに・・・ッ」
が呟くと背後に人の気配がした
「・・・はっ・・・だ、誰の事がだよっ」
「!?」
は吃驚して後ろを向くと
そこには息を切らした冬獅郎の姿があった
「遠くまで逃げやがって」
追うの大変だったじゃねぇか
冬獅郎はそう言うとに近づいた
「こ、来ないでよ!!」
近づかないで!
はそう叫んだ
「何言ってんだ」
さっさと帰るぞ
冬獅郎はの言っている事を無視しに近づき手を掴んだ
「やめてってば!」
は冬獅郎の手を掴まれたいない方の手で叩いた
「っ、何すんだよ!」
意味わかんねぇッ
冬獅郎は眉間に皺を寄せ乱暴にの手を離した
「だ、だって・・・」
はその場にしゃがみ込み泣き出した
「ふざけんなよな、折角人が追いかけてきてやったのに」
意味わかんねぇよ
・・・もういい、勝手にしろ
俺帰るから
冬獅郎はそう言って後ろを向き歩き出した
嫌だ・・・・
行っちゃ嫌だ・・・
桃ちゃんの所に行かないで
「だって好きなんだもん!!」
は冬獅郎の背中に向かって叫んだ
だから、置いて行かないで・・・
「俺だって、の事が好きだ!!」
冬獅郎はさっきよりも眉間に皺を寄せた状態で振り返った
「ぇ・・・?」
だって、だってさっき・・・
「さっきのは、お別れの挨拶・・・みたいなもんで・・・」
俺がに抱いているような感情は少しもねぇよ
そう言って冬獅郎はに近づき目線を合わせる為しゃがんだ
「ぅっく・・・冬獅郎の馬鹿ぁー・・・っ・・」
は冬獅郎の肩を弱弱しく叩いた
「はぁ・・・俺だってショックだったのによ」
近づかないでって言われるし・・・
触ったら叩かれるし・・・
「だ、だってそれは・・・ひっく・・・」
は眉を下げ冬獅郎を見た
「とにかく、いつまでも泣いてんじゃねぇよ」
冬獅郎はの肩を掴み自分に近寄せ少し強引にキスをした
「な・・・・////」
は吃驚して声が出ず片手で口を押さえた
「なんだよ//そんな見んじゃねぇ////」
恥ずかしいじゃねぇか
冬獅郎は真っ赤な顔でそう言ってから視線を逸らした
「・・・ねぇ」
「な、なんだよ」
は冬獅郎に話しかけると顔を近づけた
「私今のがファーストキスなんだけど」
「ぉ、俺もだけど;」
それがどうかしたのかよ
いつの間にか泣き止んでるし・・・
「あんなファーストキス嫌」
「そんな事言われても・・・;」
どうしろって言うんだよ
冬獅郎がそう聞くとは耳まで真っ赤にして呟いた
「ゃ、やさしいキスして・・・?」
「・・・なんだそれ」
よくわかんねぇけど・・・
冬獅郎は溜息を吐くとそっとの頬に触れ唇を重ねた
「・・・・やさしいキスってこんなのか?」
冬獅郎はから唇を離すと意地悪く笑ってみせた
「き、聞かないでよ////」
多分こういうのだと思うけど・・・//
はそう言うとそっぽを向いた
「・・・・んじゃ、帰るか」
桃も心配してると思うぜ?
冬獅郎はそう言って立ち上がるとに手を差し伸べた
「ぅ、うん・・・」
は冬獅郎の手を掴み立ち上がる
「何時か、俺達も死神になってまた桃に簡単に会えるようになろうな」
そうすれば桃も喜ぶだろ
冬獅郎はの手を掴んだまま歩き出した
「うん、そうだね、頑張ろ」
死神になれるように
ずっと一緒にいられるように
は強く冬獅郎の手を握った
---END---
その後、雛森は無事死神になり、そしてその何年後かに冬獅郎とヒロインは死神になりました。
現在ヒロインは冬獅郎の部下ですぅーっと言っても第三席。冬獅郎には特別扱いされちゃってま
す。(きゃっ贔屓☆)みたいなのがその後の設定。ついでに言うと、この話の時には雛森は既に
冬獅郎はヒロインの事が好きと知っております。ヒロインが冬獅郎の事好きな事もね。(畜生め
あ、言うの忘れてた。冬獅郎、お誕生日おめでとう。愛してるよ。うん。大好きさぁーー!(叫